小説家になろうのおすすめ小説を紹介する

なろう小説を読んでみたいけど何を読めばいいかわからない、という人のためにおすすめの小説をピックアップしていきます

異世界食堂

  こんばんは。今回もアニメ化した作品の紹介となります。数ある作品の中でも珍しいタイプの作品です。

 

 異世界食堂

↑リンクがあるのでそのまま飛べます。

 

 非常にシンプルなタイトルですね。なろうにおいては珍しいことに、異世界転生しません。主人公はこの食堂の主人であり、至って普通の料理人です。剣も魔法も存在する異世界と関わりのある食堂ですが、主人は一切戦闘なんてしません。

 

 異世界食堂の名が示す通り、異世界の食堂に足を運ぶ客達の話です。異世界にとっての異世界、つまり現代の食堂ですね。しがない商店街の一角、雑居ビルの地下一階に存在する洋食のねこや。毎週土曜日だけ、何故かその扉は異世界へと通じます。異世界のどこかへ現れるその扉をくぐると、現代の洋食屋へと誘われるわけですね。

 

 基本的には、所謂オムニバス形式というやつですか。一話完結型のお話になります。一つのメニューにまつわる異世界人達の話が展開されていくわけです。話自体は一話で完結しますが、時折過去話と繋がる話も一応あります。〇〇再び、となる話などはそうですし、過去話に出てきたキャラクターと、なんらかの関わりがあるキャラクターが出てきたりすることもあります。

 

 一話完結ですが、世界観は共通です。なので、客として来店する異世界人達が顔見知りだった、なんてこともあります。友人知人なら何も問題はありませんが、当然そうなってくると、遭遇してしまうわけですよ。敵対関係にある人物同士がね。あわや大惨事! ですがこの食堂では、たとえ敵対関係にあったとしても争ってはいけないという不文律があります。平和的に飯を食う、というのがこの小説の持ち味です。

 

 あまり細かく複雑な伏線や設定といったものはないですが、読み進めていくと少しずつ異世界における理解が深まっていきます。あの時のあの人物が実は……といった感じで。

 

 この食堂が異世界に及ぼす影響もそれなりにあるようで、来店する客の何人かは、異世界側でいくつかの行動を起こしています。作品の性質上あまりそのあたりには触れられていませんが、別の客が来店した際にそれらの影響を描写されていることがあります。

 

 異世界転生テンプレでもあるように、現代の料理技術はやはり突出していることになっていて、異世界からしてみれば何の変哲もないコーンポタージュであってもご馳走なわけです。となれば、何度でも食べたくなるのが道理というもの。食堂の常連には異世界錚々たるメンバーが並びます。各国の王、ドラゴン、英雄。何気なく食事をしている客が、よく見れば有名人だったという、なんともシュールな絵が展開されています。この食堂を通じて婚約話が進んでいたりするのもご愛敬。

 

 あまり短く終わらせるのはブログとして寂しいのでいろいろ書いてみてはいますが、とにかくこの小説の魅力は一言だけです。

 

 飯テロ!

 

 これに尽きます。料理描写が的確で美味しそうなんですよ。夜中には見ないことを勧めますね。その時は自己責任でお願いします。私は責任取りません!

 

 まぁもちろんそれだけではないですよ? さっきもちらっと説明しましたが、たまに話が繋がっていることもあり、各話の登場人物達の話をまとめると意外なつながりが見えてくることもあります。複雑な設定はない、とは言いましたが、しっかり作ってはあるようです。

 

 それぞれの登場人物にそれぞれドラマがある、といった感じで、個々人のストーリーもそれなりに楽しめるものはなっています。友情や恋愛などの人間模様を、料理に絡めて上手く描かれていますので、そちらの方でも中々面白いです。

 

 意外な伏線や人間模様といった視点で見ても過不足ありません。とはいえメインは料理。ゆっくりまったり読むのがこの小説ではないでしょうか。

 

 小説の作法としては、残念ながらあまりよくはないです。結構文字がぎっちりつまっていて読みにくい感じが、少しあります。台詞があっても段落が分けられてもいません。段落の最初や疑問符(?)や感嘆符(!)のあとに空白を開けることもないのでメリハリはなく、これもやはり読みにくい。三点リーダー(…)やダッシュ(―)は偶数個で使うのがセオリーですが、後から改善されているものの、初めの方は守られていません。

 

 上げ足取りになっていて申し訳ないですが、気になってしまうタイプなんですよ、私はね。ただ、この小説においてはそんなことはあまり問題ではないでしょう。私以上に気にしてしまう人のための、一応の注釈です。

 

 少し読みにくさはありますが、そこまで深く考えずに読むタイプの小説だと私は考えています。むしろこれくらい緩い方が気軽に読めていいかもしれません。あまりに頭からっぽすぎるのは問題ですが、文章の内容的は十分読めるものになっています。

 

 そんな感じで、異世界転生して無双する話が好まれる小説家になろうでは珍しい転生しないタイプの小説、異世界食堂の紹介でした。